家を出たのは5:30。
暑くなる前にできるだけ進んで行こうとこの時間にしたんだけど・・・この日は朝から小雨。
心配してた暑さはまず問題ないかな?
雨が降るのは前日から分かってて笠を準備してたし、この時期は炎天下でちゃりを漕ぎ続けるより、シャワー程度の雨なら降っててくれた方が気持ちいいので、状況的には好天。
家を出てからは、遍路道に合流すべく県道10号バイパスをひた走り、さぬき市長尾を目指す。
長尾に出てからは、県道3号に並行する遍路道に入り、大窪寺目指して一路南下。
この辺りは、県道3号の旧道が遍路道となっているので、車の交通も無く、の〜んびりと走れて気持ちいい。
ここで、今回の旅で一人目となるお遍路さんのおばちゃんを追い越す。
「おはようございます」と挨拶して追い越して行ったんだけど、バイクの旅では移動中に軽く挨拶を交わすということは経験することがない。(ピースサインはあるけど・・・)
スローペースでの旅の良さだなぁ〜。
前山ダムの手前になると、旧道はダムへ突き当たって途切れてしまうので、県道3号に載り変える。
この辺りから、ダム湖岸まで標高を上げるため、坂道が一気に急になってくる。
ギヤはすでに一番低くなっている。
あとはどこまで漕ぎ続けられるか。なのだが、立ち漕ぎで一気に踏み込むと、いとも簡単にホイルスピンをしてしまう。
路面が濡れているせいもあるのだろうが、どうも自転車の加重バランスの問題があるみたい。
シートに腰を付けて漕げばスピンしないんだけど、シート・ハンドル・ペダルの位置・クリアランスに問題が有り、力が入らずやたらと疲れてしまう。
かといって、腰を浮かせるといとも簡単にホイルスピン。
一瞬にして踏み抜けてしまうので、膝にかなりの衝撃が来てしまう。
僕の膝の軟骨には傷が入っていて、膝に負担をかけ続けると激痛が起きてしまうので、無理は禁物。
大人しくちゃりを降り、押し歩いてダム湖畔まで上り、7時頃に道の駅・ながおに到着。
道の駅・ながおは八十八ヶ所の資料館があるので、資料を見ながらの〜んびりと休憩。
休憩していると、先ほどのおばちゃんも道の駅に到着。
聞いてみると、近くまで鉄道やバスで来てからしばらく歩いて廻ってるそう。
お参りメインだとそういう方法もあるんだなぁ。
おばちゃんは先に出発し、僕はその後もしばらくの〜んびり。
すると、ザックを担いだ歩き遍路のお兄さんが登場。
このお兄さんは、1ヶ月でここまで廻りきったとの事。
えらい早いなぁ〜。
軽く言葉を交わしてから、8時過ぎに出発。
この先は、遍路本に紹介されている2本のルートだけだと思ってたら、道の駅でもう1本のルートの案内が出てる。
遍路本のルートは、遍路道と県道3号のルート。
遍路道は女体山を越える登山ルートで、倒木や腰高の段差、挙句は岩壁のよじ登りまであるようなので、ちゃりではどう考えても無理。
県道3号は結構交通量が多いし、ダンプのルートにもなっているので、走りたく無いと思ってただけに、もう1本のルートはありがたい。
迷わず、このルートに向かう。
このルートは、道の駅の西側から南下するルート。
完全1車線の山道ルートで、県道3号よりよっぽど歩きやすい。
・・・なんで案内本に出てないんだろう??
この道に入ってからは、ひたすら歩き。
歩きになると、ちゃりが完全なお荷物になってしまう。
シートに肘を載せて体重をかけちゃえば楽かな?と思ったけど、体勢が変になって歩きにくい。
まぁ、下りになればこの苦労が報われる。と自分に言い聞かせながら頑張って押し歩いたんだけど、いかんせん普段、体を使わな過ぎている。
100m歩いては休み、100m歩いては休みが、50m歩いては休み、50m歩いては休みとなっていき、自分の軟弱さに呆れ返ってしまう。
それでもなんとか2,5Km程の上りを歩ききり、峠を越えたところで県道3号に合流。
と、ここで道の駅で会ったお兄ちゃんと再会。
あれ?女体山のルート向かうって言ってたのに何で???と思ったら、道を間違えたみたい。
まあ、資料館のおっちゃんが雨の日に遍路道は止めた方がいいって言ってたから、良かったんじゃないかな?
この先は、県道3号からR377に進んでから、旧道の遍路道へ進むルート。
アップダウンは、 2・300m下って、500m程上って、1,5Km程下ってから、2Km強の最後の上りを上れば大窪寺。
お兄ちゃんと「大窪寺で!」と言葉を交わし、最後の気合で一気に進む。
・・・・が、下りでは当然僕の方が早いんだけど、上りになればお兄ちゃんの方が早く、抜きつ抜かれつしながら、大窪寺に着いたのは僕の方が20分程早かった程度。
お兄ちゃんは僕の後に道の駅を出たわけだから・・・結局、歩きとペースが変わんない(;o;)
ま、下りになればこっちの方が圧倒的に早いんだから、良しとしとこっか。
11時前に大窪寺に着いてからは、お寺さんに入るのは本番の結願の時と決め、外にある休憩所でほけ〜。
そうしていると、一人のおっちゃんがやってきて話しかけてきた。
このおっちゃん、11番札所・藤井寺の近くでへんろ小屋をやってるそうで、以前そこに泊まった人が結願するので迎えに来たとの事。
僕も秋から廻る事を話すると、ぜひ泊まってってくれとの事。
また、お参りを済ませた歩きのお兄ちゃんが休憩所に来ると、柏餅を買ってきて僕とお兄ちゃんにご馳走までしてくれちゃった。
このお迎えも、へんろ小屋も、ご馳走も、何の見返りも求めないお接待とのことだけど、えらい申し訳ないやらありがたいやら。
こんな習慣が今の時代にも残っていることに、なにやら感動のようなものを覚えちゃった。
これをあてにして、お遍路さんのふりをしてる輩も増えているそうだけど、いつまでも残って欲しい習慣だな。
休憩所での〜んびりと2時間弱、おっちゃんとお兄ちゃんとおしゃべりをしてから、それぞれの方向に動く。
おっちゃんは結願者を待ち、お兄ちゃんは徳島方面へ向かい、僕は来た道を引き返す。
大窪寺を出てからは、苦労して上った道をいとも簡単に下ってしまう。
上りに2時間半ほど掛かった道の駅からの道も、30分も掛からずに下りきっちゃった。
道の駅を過ぎてからも快調に下り、14時過ぎに家に帰り着き、予行演習は無事終了。
往路では5時間半ほど(休憩を含めるが)かかった道を、2時間弱で帰っちゃった。
当然と言えば当然だけど、バイクとはペースが全然違うんだなぁ。
問題点
今回の予行演習で発覚した装備等の問題点を挙げてみる。
●自転車
登坂能力が無いのは最初から分かっていることなので問題にはならないが、下りでのブレーキの性能に問題あり。
ちょっと急な下りでは全く効かないので、下りに入る前からブレーキをかけてスピードを調整しておかないといけないのだ。
うかつにスピードを出してしまうと、いくらブレーキをかけても加速を抑える程度で、減速してくれない。
また、豪快に鳴きたおしてかなりやかましい。
上りは苦労するのは分かっているが、下りでまで苦労したくない。
おいおい、何らかの対策を考えよう。
標準のペダルは踏み込むとたわんでしまい漕ぎにくい。
家にあるサイクリング車のペダルに付け替える事にする。
●レインウェアー
透湿性の素材なので、平地でちゃりを漕いでるくらいでは問題ないが、上りになると透湿が追いつかず蒸れ蒸れでシャツはびしょびしょ。雨に濡れてるのと変わりがない。
雨に濡れてもいい時期なら着なければいいだけなのだが、寒い時期になるとそうはいかない。
寒い時期にも蒸れるかどうかはその時になってみないと分からないが、その時期でも蒸れるようだと対策を考えないといけないな。
●履物
この日はスポーツサンダルを履いて行ったのだが、上り坂ではほとんど押して歩くことを考えると、履物は重要。
暖かい時期はスポーツサンダル、寒くなればバイクに載る時に履いているハイカットの革靴でいいと思ってたけど、これでは足への負担が大きそう。
後日、ウォーキングシューズを買うことにする。
●輪行バッグ
この時点で持っていたバッグは、ちゃりを買った時におまけで付いてきたもので、35×25×10とかなりの大きさにしか畳むことができない。
これでも積むことはできるが、これだけでキャリアは埋ってしまうし、積み方によっては漕ぐ時にかかとに当たってしまい、本当のお荷物にしかならない。
このバッグは、家に置く時や車に積む時に使うためのバッグなので、ちゃりにバッグを積む事を考えると、輪行専用のバッグを仕入れた方が良さそうである。
●体力
正直、情け無い話だけど、これが一番心配でした。
今の生活では歩くことはほとんど無く、仕事では現場まで車で行って現場内を歩く程度だし、休日もバイクで走っているし、買い物に行っても駐車場完備の店に車で行って、店から店への移動も車。
(聞いた話では、車メインの生活をしている田舎の人より、鉄道・バスがメインの都会人の方が足は強いとか。確かに、昔神戸に住んでた時より、見て分かるくらい足は細くなってます。)
こんな生活・足の使い方をしている僕が、脚力が原動力の自転車で旅ができるのか?上り坂で押して歩けるのか?と、心配だったんだけど、休み休みではあるけど大窪寺まで行けた事で、「なんとかなる!」と、とりあえずは思う事ができました。
まぁ、案ずるより産むが易しって事で、旅立つ前からいらん心配ばっかりしちゃダメですよね〜。
昔なら、思い立ったらすぐに実行してたのが、予行演習なんてしちゃってるってのは、オヤジ化現象ですかね〜。(^^;;;;;
とりあえず、予行演習は無事終了し、体力的にもなんとかなりそう。(^^;;;
問題点もいくつか判明したので、旅立ちまでには何らかの対策をして、万全とまではいかないまでも、ある程度整った状態で旅立つことができそうである。
旅に出てから新たに出てくる問題点は、出るごとに対処していくことにしよう。
・・・何も問題なく進むより、トラブルを克服しながら進む方が、旅は楽しくなるもんね〜。(^o^) |