’03・7・8
僕は旅の途上にいた。 いつもと違いヘルメットは被っておらず、行き交う人々と言葉を交わしながら進んでいた。 周囲の風景は見慣れた四国の景色だった。 しばらくすると山門が見えてきた。 見覚えのある山門。 今までも何度も行ったことがある大窪寺の山門だ。 山門に入っていく自分の後姿が見えた。 見慣れたザックを背負い笠を被った自分の後姿・・・ ・ ・ ・ ・・・意識が途切れた。 ・ ・ ・ 気が付くと・・・僕は部屋にいた。 それまで旅の途上だった筈が、布団の上でぼんやりとしていた。 「夢・・か・・・」 旅の夢はよく見るものだ。 ・・・が、今回の夢は違っていた。 普段の夢であれば必ず出てくるバイクが登場していない。 移動しながら出会った人達と言葉を交わしていたのだからバイクではない。 それに、笠を被った姿。 あれは完全に遍路行者のスタイルだ。 「僕がお遍路さん?」 以前、友が歩きの遍路旅をしていた時、「自分も行きたいなぁ」と思ったことはあるが、車に頼り切った生活をしている自分が歩き遍路なんて無理だろうし、何よりも旅に二ヶ月近く費やせるはずも無い。 こう思って諦めていた遍路旅。 この旅への思いが、この夢によって再び沸き起こってきてしまった。 普段の夢は経験した出来事を思い出しての夢。 今回の夢は経験したことの無い旅の夢。 これは旅への誘いに違いない。 こう思い出すと、旅を実現すべく色々と考えが湧き出してきたのだった。 |